日本の主なお葬式のスタイルとして「仏教式」「神道式」「キリスト教式」がありますが、9割が仏教式で執り行われています。


知人や会社関係で何度かお葬式に参列した経験がある人も、いざ自分が喪主となったとき、最初に考えるのが「費用」のことではないでしょうか。

仏教式は他の2つの葬式に比べると「費用が高い」といわれており、敬遠する人も増えてきました。


仏教による葬式はなぜ高いといわれるのか。

かかる費用はどのくらいなのか。

その内訳はどのようなものなのか。


厳粛なお葬式には少し不謹慎と思われるかもしれませんが、現実問題としてこれらを知っておくことで、お葬式にかけられる費用を冷静に判断できます。

相場を知っておくことで、お葬式が終わった後に後悔することも少なくなるのではないでしょうか。


-- この記事の目次 --

1.日本での葬式仏教事情

2.仏教での葬式に必要な3つの費用

3.葬式仏教でのお布施の相場

4.葬式仏教の戒名の相場

5.仏教の葬式費用の算出方法

6.葬式にも大きな変化が

まとめ

1.日本での葬式仏教事情


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現在の日本の葬式は、9割が仏式で行われているといいます。

それだけ仏教と葬式は深い関係にあるのですが、初めから葬式と深い関係があったわけではありません。

仏教が日本に伝わってきたのは538年。

聖徳太子は初めての遣隋使として小野妹子(おののいもこ)を中国に派遣して、仏教僧とともに経典などを輸入しました。

そして仏教の教えを政治に実践することで秩序を生み出しました。

そのころの日本では、僧侶は寺にこもり、一般大衆とは隔離されていました。

そのため葬式も全く仏教は関わっていませんでした。

それが時代を経るなかで、葬式と切っても切れない関係を結んで今に至ります。

 

1.1 葬式仏教の歴史

奈良時代から仏教は「鎮護国家」のための宗教システムになっていました。

出家して僧になるにも官の許可が必要であり、民間への布教も制限されていました。

ですからそのころの日本では、仏教を知る民間人はほとんどおらず、主に貴族など位の高い人だけの宗教でした。

その一方で、官による許可を受けない「私度僧(しどそう)」が次々に現れて、聖(ひじり)と呼ばれる民間の仏教者が一般の人々に仏教を広めていきました。

庶民の葬列に加わって、供養をしてくれたのはこうした聖と考えられています。

現在の仏教式の葬式は、各宗派によって細かいところは違いますが、おおよその原型になったのは、鎌倉時代に芽生え、室町時代に大きな影響力を持つようになった禅宗です。

禅宗は、出家した僧侶のための葬儀と、まだ出家せずに修行の途中で亡くなってしまった人の葬儀の方法が分かれていました。

現在の葬儀のやり方は後者のものが原型となったといわれています。

葬儀のやり方も中国式を直接取り入れているため、道具立てのきらびやかさや豪華な点が特徴です。

平安時代にはなかった香典や位牌、御影などもこの頃に登場しています。

この時代、貴族や武士の葬儀に積極的に関わってきた寺院は、大きな力を持ち始めます。

そして、権力者をも脅かす存在となっていきます。

戦国時代を迎え、ときの風雲児である織田信長により、壊滅的な打撃を加えられ、寺院の力は急速に衰えていきます。

しかし、江戸時代となり徳川家康が天下を平定すると、仏教は再び保護下に置かれます。

 

1.2 なぜ仏教による葬式が定着したのか

なぜ、現代の日本で仏教による葬式が定着しているのでしょう。

それは江戸時代に導入された「寺請制度(てらうけせいど)」にあります。

最初、寺請制度の対象は、禁教とされたキリシタンから仏教に転宗した人に対してだけでした。

キリシタンでない証に寺の檀家になったのです。

やがて転宗した人だけでなく、全ての人が寺請制度の対象となり、地域の家という家は寺の檀家になることを義務付けられました。

寺では、「宗門人別帳」を用意して、檀家の家族構成から、生まれた年、亡くなった年、結婚、移住まで管理しました。

今でいう戸籍のようなものです。

この寺請制度によって、一般庶民と仏教寺院の関係が密接となり、檀家は葬式や法事、墓地の管理などを寺に任せるようになりました。

寺請制度の中で、菩提寺の権力は徐々に強くなっていきます。

お寺ににらまれると、宗門人別帳から外されるという制裁手段があったからです。

そのため、寺院への労働奉仕、お布施の額、葬儀の規模など、お寺の言いなりになるしかありませんでした。

一方で、住職はありがたい経を読みこなす人であり、知恵を持ち、行政機関を担っている尊敬に値する人として、敬意を払ってきました。

このような関係がずっと続いてきたのです。

 

1.3 都市を中心に仏教葬式9割の時代は終わる?

現在、ほとんどの家が檀家ではありません。

自分の家の宗派も知っている人は少ないのではないでしょうか。

とくに都市に住む二代目、三代目ともなると祖父母の時代に買い求めた遠くの霊園墓地に、年に1度、命日やお盆に行く程度で仏教の信仰もありません。

このような背景もあり、さまざまな土地から移り住んで定住した都市部の寺院との関係は希薄になってしまいました。

そのため、あえて仏式にせず、無宗教という形での葬儀が生まれました。

さらに、核家族化や一人暮らしの老人が都市部を中心に増えたため、家族だけで通夜、葬式を行う家族葬も増えてきました。

宗教に対する考え方やさまざまな葬式のスタイルが増えたことで、都市部を中心に仏教葬式が減っていることは確実のようです。

2.仏教での葬式に必要な3つの費用


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日本消費者協会が行った、葬儀についてのアンケートで葬儀費用、葬式費用は全国平均で200.7万円と言う調査結果が出ています。

・葬儀一式費用 122.2万円

・食接待費 33.9万円

・寺院の費用 44.6万円 となっています。

社会的に地位のある親御さんが亡くなったときなどは、350万円程度、会社の中でも重要なポストに現役でいた人が亡くなった場合は、400万円以上が多いようです。

また、無宗教、家族葬、直葬の場合は、最低で20万円ほどになるそうです

 

2.1 葬儀費用

<祭壇料金>
50
万~70万円

一般的に「祭壇料」とは、祭壇の貸出料のことです。

祭壇というのは、お葬式の時に、参列者が焼香する場所で、白木でできたお寺の縮小版のような造作物です。

宗派によっていろいろな決まりやしきたりがあります。

最近では、宗教色をなくしたいという故人の願いによって、色とりどりの生花で飾った祭壇をこしらえる「花祭壇」にする葬儀も少なくありません。

ほとんどの場合、祭壇の値段を最初に決めると、それにスライドして祭壇の規模や骨壺、遺影、枕飾りなどの周辺のグレードが決まってきます。

さらに、実際には、祭壇料は祭壇の貸出料だけでなく、人件費や諸経費が含まれていることが多いようです。

葬儀社に頼んだ場合、多くのスタッフの人によって、お葬式はスムーズに進行していきます。

とくに初めて喪主になった人にとっては、葬儀のプロが近くにいてくれるというのは、とても心強いものです。

見積もりの中で、祭壇料の中にこうした人件費がすべて含まれてしまっているため「高い」と感じるのかもしれません。

<ご遺体搬送費>
1万円~

ご遺体を病院から自宅などに搬送するには、遺体搬送車を手配する必要があります。

法的には、遺族が自家用車で搬送しても全く問題はありません。

しかし、ご遺体を自家用車で運ぶことへの抵抗感などもあり、ほとんどの場合専門業者に依頼することになります。

急死などで息を引き取ったあと、葬儀社が決まっていない場合などは、病院と提携している葬儀社などに搬送してもらうこともできます。

その場合、遺体運送だけをお願いする旨をしっかり伝えておきましょう。

そうでないと、病院指定の葬儀社に、見積もりを取らないまま葬儀をゆだねてしまうような事態になりかねません。

搬送費用は、一般的に最低で1万円からになります。

遠方への搬送の場合、高速料金などを含め、距離によって変わってきます。

<お棺>

4
万円~200万円

日本ではほとんどが火葬になっているため、故人の遺体を納めるお棺は、燃えやすい素材のものと決められています。

一般的なお棺はほとんど木製ですが、最近では環境に配慮した段ボール製のお棺もあります。

お棺の種類は、非常にたくさんあり、値段もずいぶん違ってきます。

木製のお棺の種類は大きく分けて、「合板製」「合板布張り製」「無垢木材製」「工芸装飾製」があります。

金額も加工や装飾などが一切ないシンプルな合板製のお棺で40,000円くらいから、檜の無垢材を使って、豪華な彫刻を施したお棺では200万円するものまであります。

「どうせ燃やしてしまうのだから」と合理的に考える人もいますが、故人にふさわしくと、豪華な棺にする人もいます。

それぞれ、お棺に込める意味合いは違ってくるので、費用も一律とはいきません。

<霊柩車>

霊柩車は、葬儀・告別式を終えて、故人のご遺体を火葬場へと運ぶ際に使われる車のことです。

種類としては、主に「宮型霊柩車」「洋型霊柩車」「バス型霊柩車」があり、それぞれ料金が違ってきます。

■宮型霊柩車

7万円~

かつて、日本の葬儀では、「野辺の送り」として遺体の入った「輿」を葬列を組んで埋葬場まで運びました。

この「輿」を車に乗せたのが宮型霊柩車です。

御輿の部分は宮大工によって見事な装飾が施され、ひとつの芸術作品のように仕上げられています。

昭和の時代は、ほとんどがこの宮型霊柩車でした。

しかし、その数はどんどん減っており、有名人の葬儀のテレビ中継以外、今ではほとんど見ることはなくなりました。

その理由として、あまりにも目立ちすぎる宮型霊柩車は、平成の初めごろから火葬場を運営する自治体が周辺住民感情に配慮して出入り禁止にするケースが増えてきたのです。

さらに長引く不況で、葬式の費用をできるだけ押さえたいということで、宮型霊柩車の需要が減ってきたことも原因のひとつです。

洋型霊柩車

5
万~

通乗用車のなかでもワゴン車など大型のものを改造して霊柩車としたのが洋型霊柩車です。

中には、リンカーンなどの高級車両を使ったものもあります。

昭和天皇が使用したことから一般的に広まるようになりました   宮型霊柩車は仏教か神道の場合にしか使えませんが、洋型霊柩車なら、キリスト教はもちろん、無宗教でもあらゆる葬儀にも対応することができます。

今では、宮型霊柩車よりも洋型霊柩車の方が台数も多く、主流を占めています。

■バス型霊柩車

費用は、バスの大きさによって違ってきます。

バス型霊柩車はマイクロバスや大型バスを改造した霊柩車で、喪主以外にも宗教者、葬儀参列者が同乗できるタイプの霊柩車です。

お棺は後部の座席を撤去したスペースに載せるよう改造されています。

バス型霊柩車は、都心の火葬場で駐車場のスペースが限られているという場合でも多くの人を運ぶことができるため、徐々に増えてきました。

さらに費用の面でも火葬に参列する人たちのお車代を出さずに済むというメリットがあります。

2.2 接待・飲食費用

<通夜料理>

会葬者100名の場合25万円~

通夜ぶるまいとは、亡くなられた方とこの世で最後の宴会をするといった意味があります。

親戚・縁者が集まり、故人の思い出を語らい合い、さらに遺族に対して慰めの言葉をかける場でもあります。

故人の供養とともに、忙しいなか時間を割いて来てくれた参列者への感謝の気持ちを込めて、お酒や料理をふるまうものです。

料理は、オードブルや煮物・寿司などの大皿料理を用意して招待された参列者が食べたい料理を小皿に取り分けるのが基本です。

一般的な予算は、1人当たり5,000円程度です。

しかし、通夜ぶるまいでは、ほとんどの参列者は口をつけるだけですぐに退席することが多いので、用意する料理の数は参列者の人数の半分の量で十分間に合います。

告別料理(精進落とし)>

出席者50名の場合25万円~  

現在仏教での葬式では、ほとんどの場合、繰上げ初七日法要も行います。

火葬中に火葬場の休憩室で告別料理をいただく場合もあれば、火葬後に斎場に戻って告別料理をいただく場合もあります。

本来は初七日法要で、再度集まってもらって法要を営むところですが、遠方から駆けつけてきた親せきなどの負担を考えて、その日のうちに初七日法要を行うようになりました。

一般的に会席膳を利用することが多く、予算的には参加者1人につき5,000円位が一般的です。

<香典返し>

10
万円~  

香典返しは、その名が示すとおり、故人にお供えいただいた香典へのお返しです。

本来は、四十九日が過ぎた後、つまり忌が明けてからお返しするものでした。

しかし、現在はお焼香のあとに、お礼状とともにお返しするのが通例となっています。

典返しによく使われる品としては、「お茶」「海苔」「お菓子」など楽に持ち帰ってもらえるものが多いようです。

さらに最近では相手が好きなものを選んでもらえるようにとカタログギフトも人気を集めています。

予算的には「半返し」と言われるように、いただいた金額の13から半額を目安に品物を選びます。

ただ、最近ではお香典の金額に関わらず一律に同じ香典返しを用意するのが一般的です。

とくに高額のお香典をいただいたときには、後日お礼状とともに、別にお香典返しの品を送るといいでしょう。

 

2.3 寺院費用

葬儀社に依頼してかかる費用は、葬儀のための費用と飲食、香典返しが含まれます。

しかし、寺院費用は含まれていません。

寺院費用としては、お経を読んでいただくことへのお礼と、戒名を授けていただくことへのお礼の2つがあります。

これらの寺院費用の金額は、一律ではありません。

地域やお寺の格式、僧侶の考え方などによってずいぶんと異なります。

檀家になっているなど、お寺とのお付き合いがある場合、直接寺院に聞いてから費用は決まるようです。

しかし、菩提寺がない場合では葬儀社に僧侶の手配をしてもらいます。

その場合は、金額を葬儀社に相談すると教えてもらえます。

<読経料>

この費用も寺社によって大きく異なります。

あくまでも一般的な仏式の平均的費用としては通夜から初七日までの読経料2025万円を目安にするとよいでしょう。

また、49日など法事の際の読経料は510万円が一般的です。

戒名料>

戒名料はランクに分かれています。

一般的に信士、信女の場合510万円が相場と言われております。

しかし、菩提寺の宗派や寺格等により大きく異なり、100万円という戒名も珍しくありません。

3.葬式仏教でのお布施の相場


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お布施は、葬儀を執り行ってくれる僧侶へのお礼という意味です。

神道では「御祭祀料」、キリスト教では「献金」あるいは「お礼」といいます。

3.1 お布施とは

葬儀のお布施は、目の前の僧侶に渡しますが、本来はご本尊に捧げるものです。

お寺では、受け取ったお布施によって、ご本尊をお守りしている寺院を維持し、住職やその家族、お寺で働く人々の生活を支えています。

3.2 現代のお布施事情

お寺の台所事情も非常に厳しいのも事実です。

明治以降、神仏分離令によって廃仏毀釈が起こり、寺院の数は3分の1に減りました。

その後寺社領を失ったり、太平洋戦争後の農地解放で、収入源であった農地を強制的に買い上げられるなどして、お寺の収入源は葬儀法要しかなくなってしまいました。

お寺が専業で成り立つ檀家数は250軒~300軒だといいます。

ところが人口の都市圏集中、地方の過疎化などが進み、檀家数が激減してしまったのです。

このような事情もあり、バブルの時代を経て、お布施の相場がどんどん上がっていきました。

しかし、最近このお布施に関する「疑問」や「不満」が募り、納得できずに結局、僧侶を呼ばない無宗教による葬儀をする人が増えてきました。

3.2 お布施の相場

日本消費者協会が実施したアンケートによると全国平均金額はおよそ45万円だそうです。

これは、通夜式や翌日の告別式への読経、火葬時の炉前での読経までを含んだものです。

この中には、読経料、戒名料、お車代、御膳料も含まれています。

本来、お布施は何かへの対価としてのお金ではありません。

よく「心付けで」といわれるように決まった金額はありません。

そのためお寺との関係で、これからも長いお付き合いを続けていく場合や、今までお世話になってきたこと、そして経済状況を踏まえて決めます。

お布施の金額が少ないとお寺との関係が悪くなってしまうのではないかという心配もありますが、あまりにも法外なお布施というのも後から「不満」となってしまいます。

4.葬式仏教の戒名料の相場


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葬式仏教が神道式やキリスト教式の葬儀ともっとも違うところが「戒名料」です。

この戒名の有無によって葬儀全体の費用が変わってきます。

そのため「戒名は必要なのか」という疑問や議論が起こっています。

4.1 日本独特の戒名とは

そもそも戒名とは、仏教徒になった証として授かるものです。

仏門に入って、出家した僧侶に与えられる世俗とは違った名前ということです。

戒名は、あくまでも出家者のためのもので、一般の俗人が授かるものではありません

これはタイ国などの他の仏教国と全く同じです。

しかし、日本では死後にも戒名を授かります。

他の国の仏教徒の人たちにとっては理解できないことです。

故人は世俗のままで死の世界に移っただけで、出家したわけではありません。

にもかかわらず、あたかも世俗を捨てたかのように戒名を授かる、しかもお金でランクが違うことに違和感を持つ人が多くいるのも事実です。

4.2 宗派によって違う戒名ランク

仏教式の葬式では、戒名が必ずつけられます。

戒名には実はランクがあります。

一般的に字数が多ければ多いほど、ランクが高く、そのぶん戒名料も高くなります。

戒名料をいくら支払うのか。

これは仏教での葬式予算を考える上で、切っても切れないことです。

戒名料の相場は、寺院の格式や地域によっても変わってきますが、次のような目安になるそうです。

○○院殿□□□□大居士(清大姉)100万円~

○○院殿□□□□居士(大姉)70万~100万円

○○院□□□□□□□居士(大姉)50万~70万円

○○院□□□□居士(大姉)50万~70万円

□□□□□□居士(大姉)20万~30

□□□□居士(大姉)20万~30万円

□□□□禅定門(禅定尼)20万~30万円

□□□□□□信士(信女)10万~20万円

□□□□信士(信女)10万~20万円

□□童子(童女)3万円~

4.3 葬式の内容にも影響する戒名

戒名のランクは、いろいろなところで影響することを知らない人も多いのではないでしょうか。

たとえば、戒名を院号のような高いランクを授かったとします。

すると、お寺としてもたくさんいる僧侶の中でも位の高いお坊さんがお経を上げることになります。

すると当然、読経料などのお布施の額も上がります。

もちろん祭壇から、お棺、供物、遺影すべてにおいて、戒名のランクは影響します。

ランクが高い戒名を授かりながら、質素な葬式を出すわけにはいかず、逆にランクの低い戒名で豪華な葬式を出すのは違和感があります。

そのため、葬儀社で祭壇のランクを決めると、同時にそれに付随するいろいろなものもランクが決まってくるのです。

5.仏教の葬式費用の算出方法


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自分が喪主になった時、どれくらいの規模の葬式にすればいいのか、いくらくらいの出費が予想されるのか、お金の問題は頭を抱えるところです。

5.1 出費だけでない葬式費用

一般的な仏教での葬式にかかる費用は、平均で約200万円という統計が出ています。

残されたものとしては、これからの生活を考えるとできるだけ出費を抑えたいと考えるのは当たり前です。

しかし、葬式には出費だけでなく収入もあることを忘れてはいけません。

とくに主な収入として香典があります。

香典は生前の故人との関係で金額の相場というものがあります。

会葬者の数や顔ぶれ、関係性などによって、ある程度香典の額も決まってくるので、収入の大まかな金額も把握できるでしょう。

5.2 香典の役割

香典とは、その名の通り、香・お線香の代わりに御霊前にお供えするという仏式葬儀の礼法です。

しかし、現代では、神道でもキリスト教でも宗教に関わりなく、名前は違ってもお悔やみの気持ちを表すものとして香典を渡します。

典は、葬儀を営む喪家に対して、支援の意味もあります。

とくに経済的な大黒柱を亡くした場合には、多めに香典を包むなどの配慮も必要でしょう。

だいたい香典の相場は決まっていますが、地方によっては、一人ひとりの香典の負担を軽くしながらも、喪家への支援を厚くするため、より広く多くの人たちからの香典を集め、一律1,000円と取り決めているところもあります。

そのようなところでは喪家の負担を軽くするため、香典返しもタオル1枚というのが定番になっているそうです。

このように香典の役割は相互扶助の精神が色濃く反映されています。

5.3 その他の収入も忘れずに

故人が国民健康保険に加入していれば、葬祭費・埋葬費などが支給されます。

さらに、国民年金から死亡一時金、労災保険から葬祭料が支給される場合もあります。

また故人が生命保険に組み込まれた葬儀補助金などを契約していた場合、これらも収入となります。

このように支出と収入を差し引いて、実際にかかる費用の見通しを立て、かけられる費用を判断することが大切です。

5.4 少人数の葬式なら費用がかからない?

葬式はお金がかかるから、やりたくないと考える人もいるでしょう。

また会葬者を呼ぶと、飲食などのお金がかかるから身内だけの少人数の葬式をしたいと考えるかもしれません。

しかし、果たして少人数の葬儀なら費用負担か軽くなるのでしょうか。

お金をかけたくないとはいえ、人が亡くなったときには少なくともかかる費用というものがあります。

・遺体を運ぶ寝台車

・棺

・ドライアイス

・火葬費用

・骨壺  

最低でも20万円はかかるといいます。

葬式を出費だけでなく香典などの収入を考えた時、費用面だけで家族葬や直葬にするという選択肢は少し考えたほうがいいかもしれません。

6.葬式にも大きな変化が


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今まで9割を占めてきた仏教での葬式ですが、檀家制度の崩壊や核家族化、菩提寺を持たず、寺院からも離れた日常を送っているため、あえて宗教色を取り除いた葬式を望む人が増えてきました。

6.1 僧侶を呼ばない無宗教の葬式

葬式の費用で大きなウエイトを占めるのが寺院費用です。

全国平均で45万円ほどかかっています。

戒名のランクによっては、当然これ以上の費用がかかります。

この寺院費用を節約するためには僧侶を呼ばない無宗教の葬式を上げることです。

「自分らしい葬儀をあげたい」「線香くさい葬式は嫌だ」「散骨してもらいたい」といったさまざまな理由で無宗教式の葬式も最近増えています。

読経の代わりに故人が好きだった音楽を流したり、焼香の代わりに献花するといった宗教色のない式が評判となっています。

6.2 葬儀を行わない直葬

最近「直葬」で葬式を行う人が増えてきました。

現在、多くの人は病院で息を引き取ります。

直葬は、故人の遺体を自宅や葬儀社が用意する安置場所に搬送し安置します。

そこで納棺し、近親者だけで通夜を行います。

会葬者は呼びません。

通夜が済んだら、翌日霊柩車で火葬場へ出棺になります。

そして近親者だけで火葬され、収骨、骨上げをして葬式は終わります。

これが、直葬の一般的なやり方です。

直葬の背景として、高齢化があげられます。

故人が高齢で大往生を果たした場合、通常の通夜、葬儀、告別式を行ったとしても参列者の数は決して多いものではありません。

友人、知人もすでに亡くなっているか、存命の場合も足腰が弱くなって葬儀に出席するのが困難である場合が多いからです。

それにもうひとつ、葬式の費用の問題があります。

とくに仏教式の葬式の場合、お寺に対するお布施が高額であるという理由で、菩提寺などがない限り、僧による読経や戒名などもつけずに無宗教で直葬にするというケースが増えています。

6.3 葬儀スタイルの多様化

日本人は、他の民族よりも熱烈な宗教信仰というものが少ない民族なのかもしれません。

以前は、村や部落といった生活共同体でのつながりが強かったため、葬儀にも仏教を基盤とした葬儀のあり方といったものがありました。

しかし、都市化や核家族化が進んだ昨今、そういったコミュニティのつながりも希薄になっているのが実情です。

このような流れのなか、「日常生活でほとんどお寺と無縁だったのに、葬式の時だけ読経や戒名をつけるのはおかしい」と仏教での葬式に疑問を感じる人が出てくるのも当然といえでしょう。

いままで、亡くなったら仏教式という流れが当然のようでしたが、普段から信心をしている宗教がないのなら宗教に関係なく、故人を偲ぶための葬儀のスタイルを選ぶことは、今後主流を占めるのではないでしょうか。

まとめ


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自分が喪主になった時、その手順以上に葬式にどれくらいの費用がかかるのか不安になります。

お金のことを言っては何となく不謹慎な雰囲気で、そのまま葬儀社のいわれるままに流されて後から後悔してしまうこともあります。

また仏教で葬儀をしようとしたとき、菩提寺を持たないために、納得のできないお布施や戒名料を要求されたりして、葬式のあとモヤモヤした気持ちになる人いるでしょう。

そうならないためにも、仏教での葬式でかかる葬式費用は大まかにつかんでおきましょう。